世界 ガザ戦闘で死者計7万4000人超、元兵士らは緩衝地帯での射殺などの実態を証言
イスラム主義組織ハマスの越境攻撃から7日で3年が経過した。ガザでの戦闘による死者は計7万4000人を超え、イスラエルとガザ双方の社会に深い傷を残している。和平の道筋は依然として見えず、人道危機が続く中、兵士や市民の間では戦闘の正当性を巡る対立と疲弊が深まっている。 戦闘開始から3年、膨らむ犠牲者と深まる社会の分断 2023年10月7日午前6時半頃、ハマスによるイスラエル南部へのロケット弾発射と境界フェンスの突破により、大規模な戦闘が始まった。読売新聞によると、この攻撃で子供を含む約1200人が殺害され、251人が人質としてガザへ連行された。これに対し、イスラエル軍はガザへの軍事侵攻を開始。読売新聞は、この3年間の戦闘による死者がイスラエルで2300人以上、ガザで7万4000人以上に達したと報じている。戦闘はイスラエル社会にも深刻な影響を及ぼしており、ベングリオン大学の研究チームの調査では、14歳から18歳の若者の41.9%がPTSDを疑わせる症状を訴えている。また、兵士の自殺者も約70人に上るなど、双方の社会で精神的な負荷が限界に達している。 写真:Yahoo!ニュース 和平計画の停滞と続く軍事報復の構図 戦闘の終結に向けた動きは混迷を極めている。FNNプライムオンラインによると、2025年10月に米国主導の停戦合意が発効したものの、和平計画は形骸化している。停戦後もイスラエル軍による空爆は続いており、ハマス側も武装解除に応じていない。イスラエルのネタニヤフ首相は、襲撃に関与した者への報復を継続する方針を堅持している。一方で、ハマス側も6日に声明を出し、エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立まで抵抗を続ける姿勢を示した。和平交渉が停滞する中、国連のグテーレス事務総長は、恒久的な停戦の実現を改めて訴えている。 ホロコーストの記憶と対等な人間関係の喪失 イスラエル社会では、被害の記憶が軍事行動を正当化する論理として用いられている。米ブラウン大学のオメル・バルトフ教授は、イスラエル政府がパレスチナ人の抵抗に対し「ホロコースト」の記憶を引用してきたと指摘する。長年の占領政策により、パレスチナ人を対等な人間と見なさない意識が社会に定着したとの見方だ。兵士の中には、カメルさん(仮名)のように軍務に疑問を感じ、招集を拒否する動きも現れている。しかし、ハマスの越境攻撃で家族や友人を失った恐怖や不信感は根強く、戦闘の必要性を主張する声も依然として根強い。 写真:AFPBB News 人道危機の深刻化と先行き不透明な状況 ガザ地区の人道状況は極めて深刻だ。FNNプライムオンラインの報道では、住民約210万人のほぼ全員が避難を余儀なくされており、約140万人が食料不足に直面している。支援物資の搬入も十分ではない。紛争の背景には、第一次世界大戦時の英国による「3枚舌外交」などの歴史的経緯があるが、現代の対立は解決の糸口が見えない状況だ。イスラエルがハマスの壊滅を掲げ、ハマスが徹底抗戦を宣言する中で、双方の溝は埋まっていない。今後、国際社会による停戦への圧力が実効性を持つのか、それとも戦闘が長期化するのか、終結に向けた道筋は依然として不透明なままだ。