日本 モーリタニアのタコ漁広めた日本人男性の名を冠した漁業調査船が完成、日本から供与へ
日本の政府開発援助(ODA)によりモーリタニア向けに建造された最新の漁業調査船が今月完成し、29日に新潟市の造船所で進水式と命名式が行われる。同国の主要産業であるタコ漁の礎を築いた日本人男性にちなんだ船名が付けられる予定で、両国の絆の証しとして水産業の発展に活用されると読売新聞が報じた。 モーリタニアで進水する最新鋭の漁業調査船 新潟市の造船所で今月完成した漁業調査船は、国際協力機構(JICA)を通じてモーリタニアに供与されるものである。現地の既存船が老朽化していることに伴う対応で、水産資源の調査や海洋環境の観測に必要な最新の機能が備わっている。新潟での進水式と命名式は10月29日に執り行われ、来年春にも同国へ引き渡される見通しだ。式典には、現地で長年漁業指導にあたった中村正明さんが出席する予定となっている。 日本式タコつぼ漁を伝授した中村正明さんの軌跡 国土の大半がサハラ砂漠で魚介類を食べる習慣があまりなかったモーリタニアにおいて、日本式のタコつぼ漁を広げたのは中村正明さんである。中村さんは1978年から1985年にかけ、国際協力事業団(現在のJICA)の専門家として現地に赴いた。資源豊かな漁場に目をつけ、自ら沖に出て漁を教え続けたという。当時、タコは見た目から忌避されており、漁師たちは誰も触ろうとしなかったが、地道な指導によってその後ろ姿を漁師たちが追うようになったと振り返っている。 タコがもたらすモーリタニア経済の現在地 かつて誰も触ろうとしなかったタコは、現在では同国に年数億ドルの収入をもたらす主要産業へと成長した。モーリタニア産タコは日本が輸入する全体量の約4割を占め、日本のスーパーなどの店頭に多く並んでいる。JICAによると、タコ漁が盛んな現地の村では、中村さんへの敬意から子どもに「ナカムラ」や「マサアキ」と名付ける親が存在するという。また、同国の駐日大使が着任のたびに東京都内の中村さんの自宅を訪ねるなど、深い結びつきが続いている。 国際協力の本質を語る中村さんの思い 大統領から授与された勲章を眺めながら、中村さんは読売新聞の取材に対して現地での活動を振り返った。「現地の人々のためと思って取り組んだことが認められてうれしい」と語り、「国際協力とは相手国の食いぶちを考えることだ」という信念を示している。長年にわたる地道な技術移転が、結果として両国の経済的な結びつきや強固な外交的信頼関係の土台を作り上げた。 両国の絆を乗せて来春にもモーリタニアへ 新潟市での命名式と進水式を経て、この漁業調査船は来年春にもモーリタニアへ供与される。現地の老朽船に代わる新たな調査船として、水産資源の持続的な管理と海洋環境の観測を支える役割を担うことになる。中村さんの名前が付けられる予定の船は、かつて日本から伝えられた技術が現地に根付いた歴史を乗せ、両国の新たな協力関係の象徴として海へ乗り出す。