世界 トランプのロシア産ディーゼル輸入が物価高騰を止めず批判を招く
トランプ大統領は、11月3日の中間選挙を控え、米国内のディーゼル油価格を引き下げることに執着し、欧州への輸出禁止の脅しや主要7カ国での石油備蓄放出、ロシアからのディーゼル油輸入合意といった異例の措置を講じたが、国内の価格高騰は収まらず、民主党議員に加え与党共和党議員からも批判を浴びている。. 中間選挙を目前に控えたディーゼル価格の急騰 米国内のディーゼル燃料価格は今年に入り、急激な上昇を続けている。Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)によると、10月17日時点の全国平均価格は1ガロン当たり6.33ドルを記録した。今年1月の3.523ドルと比較すると、わずか数カ月で約80%もの急上昇となった。特にカリフォルニア州では、一部地域で1ガロン当たり9ドルに達する場所もあり、これは日本円に換算すると1リットル当たり375円という異常な高値である。物価上昇は有権者の最大の関心事となっており、トランプ政権にとって燃料価格の引き下げは、低迷する支持率を回復させるための緊急かつ不可欠な政策課題となっている。 低迷する支持率と共和党への逆風 トランプ大統領の政治基盤は現在、厳しい状況にある。エコノミスト誌とユーガブが10月14日に公表した世論調査によれば、トランプ大統領の支持率は38%にとどまり、不支持率は61%に達した。特筆すべきは「強く支持」が20%であるのに対し、「強く不支持」が51%を占めている点であり、支持率から不支持率を引いた数字はマイナス23という低水準である。Yahoo!ニュースが報じた内容を含め、複数のメディアが指摘するように、この支持率の低迷は中間選挙の結果に深刻な影を落としている。下院のみならず、改選される上院の3分の1の議席においても、共和党が民主党に多数派を譲る可能性が高いとの観測が強まっている。 同盟国への圧力とロシアとの合意 トランプ大統領は燃料価格を下げるため、なりふり構わない強硬手段を次々と打ち出している。まず、米国からのディーゼル燃料輸出に大きく依存している欧州諸国に対し、輸出禁止をちらつかせることで圧力をかけ、G7による1億バレルの石油備蓄放出を合意させた。さらに、農家や建設機械向けに認められていた免税ディーゼル燃料の道路使用を解禁するなどの策を講じたが、いずれも価格抑制の効果は限定的だった。追い詰められたトランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領と2時間の電話会談を行い、ロシアからのディーゼル燃料輸入に合意を取り付けた。この交渉に伴い、ロシアに対する制裁の一部解除まで踏み切ったことが明らかになっている。 ロシア産燃料の受け入れを巡る国際的な波紋 米ロ間のディーゼル燃料取引合意は、国際社会や国内政治に大きな波紋を呼んでいる。ロイター通信やニューズウィーク日本版によると、トルコのバイラクタル・エネルギー天然資源相は18日、米ロ合意を受けてロシア産ディーゼル燃料の一部をトルコが受け入れる方針を表明した。バイラクタル氏は、この取引がトルコのエネルギー安全保障にとって重要であると強調している。一方で、この合意に対してはウクライナのゼレンスキー大統領や欧州当局者が強く反発している。さらに、トランプ大統領が所属する共和党内の議員からも批判の声が上がっており、外交的・政治的リスクの高さが浮き彫りとなっている。 写真:ニューズウィーク日本版 迷走するエネルギー政策の先行き ロシアからの燃料輸入という「禁じ手」まで繰り出したトランプ大統領だが、米国内のディーゼル価格は一向に下がる気配を見せていない。むしろ、制裁解除を伴うロシアとの取引に合意したことで、議会からの反発を招き、政治的な孤立を深める結果となった。支持率の回復も進んでおらず、エネルギー供給の多様化を掲げるトルコのような国々がロシア産燃料の受け入れを表明する一方で、米国国内では燃料価格の高騰と政治的対立という二重の苦境が続いている。11月の中間選挙に向け、トランプ政権が今後どのような新たな対策を打ち出せるのか、その選択肢は極めて限定的となっている。 写真:Wedge ONLINE トランプ ロシア産ディーゼル 購入検討 精油所攻撃 ウクライナに停止圧力 #Shorts